あの春、君と出逢ったこと
『少し外に出ましょう⁇
夕ご飯まで時間があるわ』
『それ賛成‼︎』
翠の提案に賛成して、他の人の邪魔にならないように、静かに外に出る。
『空気が美味しい気がする〜‼︎』
『3時間ぐらい部屋に篭ってたからな』
外に出て、思いっきり空気を吸い込んでそう言った私に、煌君がそう返す。
『少し歩いてもいいのかな?』
隣にいた翠にそう聞くと、少し考えた翠が頷いたのを見て、翠の手を引いて煌君達から離れる。
『どうしたのよ、琹莉』
私の突然の行動に驚いたのか、少し速い瞬きを数回してそう聞いてきた翠に、口角を上げる。
『肝試し‼︎ 快斗君となれるような祈っとくよ』
そう言った私を見て、固まった翠の顔が、徐々に赤くなっていく。
『翠、顔赤いよー』
そんな翠の頬を突きながらそう言うと、余計に顔を赤くした翠が私の手を払う。
『そう言う琹莉はどうなのよ??』
落ち着きを取り戻したのか、いつもと同じ声でそう言った翠に、今度は私が顔を赤くする番で。
慌てて、赤くなっていく顔を手で覆う。
『琹莉こそ、なれるといいわね』
ニヤニヤと笑いながら言った翠の言葉を聞かないように、両手で耳をふさぐ。
聞いたらダメだ。絶対に顔が赤くなっていく!
危機を感じて、聞かないように耳を塞いでいた私の頭の上に、誰かが肘を置いたような感触がして顔をあげる。
『顔、真っ赤』
『なっ……煌君⁉︎』
顔を上げて視界に入った予想外の人物に、慌てて煌君から距離をとる。
肘を置いたのが煌君って事は、今の会話、聞かれてたってこと⁇