あの春、君と出逢ったこと




『これから、お楽しみの肝試し大会を始める!

肝試しのくじ引くから、みんな並べ‼︎』



快斗君の呼びかけに応じて、私達のクラスから順に並んでいく。




女子は快斗君と同じ実行委員の子が持ってる箱からクジを引いて、男子は快斗君が持っている箱から引くらしい。




1クラス2人まで、男女で学級委員を決めるなら、翠がなればよかったのにって思ったのは秘密。




多分翠の事だから、面倒とかそんな理由だろうから、聞くだけ無駄だと思うしね?




『全員引き終わったか?』



快斗君の言葉にみんなが頷くき、それを見た快斗君の言った合図で、みんな一斉にクジを開く。



クジを引いてからは何も話してはいけないため、誰1人話さない沈黙の中、紙を開く音だけが聞こえる。




『みんな、クジ確認したよな?

今から、番号呼ぶから、同時に手を上げてくれ』



快斗君の言葉に再度みんなが頷くと、快斗君が人差し指を立てながら、1‼︎ と叫ぶ。



……張り切ってるのはわかるけど、わざわざ叫ばないで良いと思うよ⁇ 快斗君。




心の中でそう突っ込みながら、自分の番号が呼ばれるまで待つ。



『9番……あ、俺か』



そういった快斗君に、私の隣に居た翠の肩が、ピクリと上がるのを感じて、翠に視線を送る。



『……9よ』



私の視線を感じたのか、居心地悪そうにそういった翠の手を思わず握ってしまう。



いきなりの私の行動に驚いたのか、翠がこっちを見て目を見開いて、私を見る。




『翠、おめでと!』



そんな翠に、快斗君に怒られないくらいの小さい声でそう言うと、別にと言った翠が、私から顔をそらした。



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