あの春、君と出逢ったこと





『次、7‼︎』


その後も次々と番号が呼ばれるなか、中々煌君が手を上げないことを気にしながらも、自分の番号を待つ。


どんどん番号が呼ばれ、残りの番号の数も減っていくなか、私の手も、煌君の手も上がらない。



『ラスト、20』




やっと番号が呼ばれ手を挙げると、同時に手を上げた男子は、まさかの煌君で。



みんなに気づかれないように、翠が私の背中を叩いた。




『これで全員呼んだよな?

1番からスタートしてくれ』



快斗君の指示に従って、二本の懐中電灯を持ちながら、1組めのペアが森のなかに入っていった。




それを見届けて、ペアで固まり始めた周りに逆らわない様に、翠と一緒に、快斗君と煌君の元へと向かう。



『煌君、同じ番号だったね』



『怖がって進まないとか、ないよな?』



私の言葉に、茶化す様にそう言って笑った煌君の足を思いっきり蹴る。


怖がらないに決まってる! とか言い返したいんたけど、それだけはさすがに無理だし。



『煌、ちゃんと栞莉チャンを守ってやれよー⁇』



ニヤニヤと笑いながらそう言った快斗君を見て、煌君が眉間にシワを寄せる。


そんな煌君と快斗君のやりとりを見ていた翠まで参戦して、なぜか3人で睨み合い始めた煌君達に私が焦る。




『快斗君、翠! それそろ番号呼ばれるよ?』



丁度8番と言った声が聞こえたのを利用して、3人の変な睨み合いを止める。




……肝試し前なのに。


変な体力使っちゃったよ。




私の言葉に反応して向かっていった翠達を見て、安堵のため息を着く。



『煌君、お化け大丈夫なの?』


ふと思い、そう聞いた私に笑った煌君が頷いて、何を思ったのか、私の持っていた懐中電灯を取り上げた。




『煌君⁇』



『怖くないんだろ? なら、無しでもいけるよな』






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