あの春、君と出逢ったこと
『トリックオアトリート‼︎ 栞莉チャン!』
今日は10月31日で、今は夜の8時。
1人で晩御飯の準備をしていた私など御構い無しに、滅多に鳴らないドアベルが鳴って、急いでドアに駆け寄りドアを開ける。
慌ててドアを開けると、仮装をした快斗君が両手を突き出しながら、イキナリそういって笑った。
『……トリックオア、トリート⁇』
それって、お菓子がいたずらか。って事だよね?
お菓子をあげるっていうのは分かるけど、ワザワザ仮装している意味がわからず、思わず首をかしげる。
『もしかして、栞莉チャン、今日なんの日かわからないとか⁇』
首を傾げた私に驚いたのか、恐る恐るそう聞いてきた快斗君に、首を横に振る。
『ハロウィンでしょ? 知ってるけど……』
『知ってるなら話は早い!
お菓子くれないと、悪戯するぞ‼︎』
そういってニヤリと笑った快斗君の頭に、何かが振り落とされる。
『……栞莉が困ってるだろ』