あの春、君と出逢ったこと
『翠、今日の夕飯カレーなんだけど、良かったら食べていかない??』
カレーって、どうしても作りすぎちゃうから余っちゃうし。
翠にそう聞いた私の言葉に、何故か快斗君の目が輝く。
『翠チャン、お菓子は良いからさ、俺にも夕飯ご馳走してよ』
そういった快斗君は、目を輝かせたまま私の両手をとって私を見つめてくる。
……そんなキラキラした目で見られて、断れるわけないよ。
快斗君、それ分かってて、絶対狙ってる。
『良いよ。
4人で食べよ?』
苦笑いを浮かべながらそう言った私に、快斗君がガッツポーズをすてみせ、そんな快斗君を見て、煌君が溜息をつきながらお礼を言う。
『親いないから、普通に上がって?』
私の言葉に頷いた3人が、快斗君、翠、順に家に上がる。
『お邪魔じゃないの、かしら⁇』
まだ慣れないのか、家に上がった今もなお、少し隠れ気味の翠に笑いながら頷く。
『親、仕事なのか?』