あの春、君と出逢ったこと




……待って。

不味いと言われるのも怖いけど、なんの反応が無いのも怖いよ。


一言も話さずに黙々と食べ進めていく3人を見て、背中に冷や汗が流れる。


『あ……の……』


いつまでたっても話さない3人の沈黙の空気にやられて、おずおずと口を開く。



『……不味い、よね?』


3人に聞きながら、自分の言葉に勝手にダメージを負う。

……自分で言ってダメージ負うとか、私、馬鹿だよね。



そう思いながら俯けた顔を上に上げると、謝り気味にそう聞いた私を不思議そうに見る3人と目があう。



何でしょう、その表情は。



言葉もなく、何言ってんだこいつみたいな顔されても、私は何とも言えないよ?




『……栞莉、美味しいわ』



私の言葉を理解したのか、笑いながら翠がそう言うと、残りの2人もハッとしたように笑い出す。



『笑う所あった⁉︎』



急に笑い始めた3人に、アタフタしながらそう聞く。
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