あの春、君と出逢ったこと



驚いて聞き返した私に頷いた3人を見て、思わず安堵のため息をつく。

不味いと思われてると思っちゃった。


……私の気のせいだったって事か。




『たくさんあるから、食べてね?』


『言われなくても食べる‼︎』


私の言葉にいち早く反応した快斗君が、残りのカレーを口に流し込んで、おかわり! と私に皿を突き出す。



確かに、おかわりしてねって言ったけどね?

ここまで豪快に遠慮なくおかわりっていう人は初めて見た。


『はいはい』


快斗君の皿に新しくカレーを盛りつけて、快斗君に渡す。

手渡した快斗君の頭に、狼の耳がついているのを見て、ハッと思い出す。


そう言えば、今日はハロウィンだったね。
快斗君たちも、お菓子をもらいに来たんだった。


お菓子のかわりにカレーをご馳走したけど、やっぱりお菓子の方がいいよね?



……快斗君たちがカレーを食べている間にできる簡単なお菓子って何かあるかな?


キッチンをウロウロと周りながら考えていると、なぜか台所のパンを置く場所に、フランスパンがあるのが視界に入る。


何でこの家にフランスパンがあるの。

不思議に思いながらフランスパンを手に取った瞬間、あるお菓子が思いつき、慌ててパンナイフでフランスパンを切っていく。


< 171 / 262 >

この作品をシェア

pagetop