あの春、君と出逢ったこと
驚いて聞き返した私に頷いた3人を見て、思わず安堵のため息をつく。
不味いと思われてると思っちゃった。
……私の気のせいだったって事か。
『たくさんあるから、食べてね?』
『言われなくても食べる‼︎』
私の言葉にいち早く反応した快斗君が、残りのカレーを口に流し込んで、おかわり! と私に皿を突き出す。
確かに、おかわりしてねって言ったけどね?
ここまで豪快に遠慮なくおかわりっていう人は初めて見た。
『はいはい』
快斗君の皿に新しくカレーを盛りつけて、快斗君に渡す。
手渡した快斗君の頭に、狼の耳がついているのを見て、ハッと思い出す。
そう言えば、今日はハロウィンだったね。
快斗君たちも、お菓子をもらいに来たんだった。
お菓子のかわりにカレーをご馳走したけど、やっぱりお菓子の方がいいよね?
……快斗君たちがカレーを食べている間にできる簡単なお菓子って何かあるかな?
キッチンをウロウロと周りながら考えていると、なぜか台所のパンを置く場所に、フランスパンがあるのが視界に入る。
何でこの家にフランスパンがあるの。
不思議に思いながらフランスパンを手に取った瞬間、あるお菓子が思いつき、慌ててパンナイフでフランスパンを切っていく。