あの春、君と出逢ったこと
あたり一面がキラキラと光って、空から雪が降ってくる。
周りには、腕を組んでラブラブなカップルや、ケーキを持って笑顔で手をつなぐ家族が沢山通り過ぎていく。
『メリークリスマス‼︎
クリスマスケーキはいかがですか?』
目の前を通った私に声をかけてきた、サンタのコスプレをしたお姉さんに苦笑いを浮かべながら断り、隣に視線を移す。
『……1つ聞いても良い?』
『……ああ』
私の隣にいる人も、あまり状況が理解できていないようで、周りを見ながらそう言う。
『今日はクリスマスで、4人で遊ぶ予定だったよね?』
『……ああ』
『じゃあ、なんで2人は消えたの⁉︎』
『……ああ』
私の言葉に、ああ。しか返してこない煌君を無視して、数分前の事を思い出す。
はじめは、4人でクリスマスパーティーをするつもりだったのに。
快斗君が、翠を連れて何処かに消えてしまった。
……別に、快斗君が翠に告白する気ならそれでも良いんだけどっ‼︎
『私達、場違いだよね? 煌君』
『……だな』
久しぶりに違う言葉で返してきた煌君にホッとしながらも、溜息をつく。
周りには恋人たちがたくさんいて、せっかくのホワイトクリスマスだと言うのに。
『なんで隣にいるのが煌君なのさー』
内心の嬉しさを隠してそう言うと、私の方を見た煌君が眉間にしわを寄せる。
『それは、俺のセリフだ』
こんな日にまでお前の顔を見ないといけないからな。と笑った煌君を軽く睨みつける。
それは、確かに私なんかよりも可愛い女子はずっとたくさんいると思うけど……ね?
それ、本人に言わないよね⁉︎ 普通は‼︎