あの春、君と出逢ったこと



『……なぁ』



『んー?』



煌君の隣をブラブラと歩いていた私に、こう君が立ち止まって声をかける。



『どうせだから、どっか行かないか?』



そして、いきなりそう言った煌君の言葉に、思わず固まってしまう。



……どっか行かないかって、え?



私が、煌君と?



何かそれ、恋人みたいじゃないですか⁇ 煌さん。



突っ込もうとした言葉を慌てて飲み込んで、ニコッと笑って頷く。



どうせなら、せっかくのクリスマスだもん。
遊びたいじゃない?



『栞莉なのが不満だけどな』


そう言って鼻で笑った煌君の足のスネを、力任せに蹴り上げる。



『それはこっちのセリフです!』



久しぶりに、イラつきゲージがマックスになりそうだよ?



本当、煌君といたら溜まるのが早い気がするのは気のせいじゃないよね⁇



『百面相』



考え込んでいた私の顔を覗き込んでそう言った煌君を睨みつける。



……何なんだいったい。


どんだけ私を怒らせたいのさ。




『んー……あれとか?』



気をとら直して、周りを見渡して、周りよりも何倍もでかく光っている建物を指す。



『新しくできたやつだよな、アレ』



私がさした方を見てそう言った煌君に首をかしげる。


あれ、最近できたんだ。



ここら辺に住んでるのに、全くわかんなかったんだけど……。



『あれにするか』


『うん!』



何であれ、煌君とのクリスマスなんだから。


楽しまなきゃ損だよね?




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