あの春、君と出逢ったこと
中に入ってみると、たくさんの店が並んでいて、クリスマスだからか店内までキラキラと輝いている。
『……でかっ』
店内を見渡して驚いて声を上げた私を無視して、煌君が適当にどこかに向かって歩き始める。
『煌君⁉︎ ちょっと待ってよ!』
そんな煌君に後ろから声をかけながら駆け寄った。
『見たいところあるの?』
歩きながら、煌君が首を横に振る。
……ん⁇
首を、横に振ったよね?
『ちょ煌君⁇ 行き先決まってないの?』
慌ててそう言った私に、煌君が頷気返したのを見て、思わずため息をつく。
行き先がないのに歩いていたって仕方がない。
適当に店に入ろうと辺りを見渡すと、私の好きな店があるのを見つけて、思わず足がそこに向かってしまう。
『琹莉⁇』
突然違う向きに歩き始めた私を不思議に思ったのか、私を見ながら名前を読んで首を傾げた煌君に、店をさして笑みを浮かべる。
『あのお店、よっても良いかな⁇』
そんな私の言葉に頷いた煌君が、私の隣に来て一緒に店に向かう。
……私は別に良いんだけど、あの店、煌君は入るの恥ずかしくないのかな⁇
店に向かいながらそう考えていると、私の考えをよそに、煌君は普通に店の中へと入っていった。
『これかわいいっ!!!』
店に入って、目に入ったものを手当たり次第眺めていく。
店内をぐるっと周りながら歩いていると、ふと、惑星型のブレスレットが目に入って、思わず立ち止まる。
『……これ、良いかも』
ブレスレットを手に当てて、そう呟く。
新しいブレスレット欲しかったところだし、丁度良いかな?