あの春、君と出逢ったこと
ブレスレット片手にレジに向かおうとした時、誰かに肩を叩かれて後ろを振り返る。
『煌君⁇ どうかした?』
私の肩を叩いたのは煌君で、なぜか口元に笑みを浮かべていた。
『俺も見たいところがあるから。
行かないか?』
そんな煌君の言葉に、買おうとしていたブレスレットを置いて、後をついていく。
あのブレスレット、今度買おうかな?
『分かった』
そう思って、ブレスレットを置いて、煌君に向かってそう言って笑う。
店を出て、少し歩いて煌君の行きたい店に入る。
……そう言えば、いつの間に行きたいお店見つけたんだろう。
店の中に入ってフラフラと商品を眺めていると、1つのピアスが目に入る。
『今日、目につくものが多い日なのかな?』
そのピアスを片手にそう呟くと、また誰かに肩を叩かれて、後ろを振り返る。
『どうしたの、煌君』
案の定、また肩を叩いたのは煌君で。
振り返った私に、この店で待ってろと言った後、店から出て行った。
今日はちょっとおかしいのかも、なんて思いながら、ピアスに視線を戻す。
このピアス、もしかして、煌君に似合いそうだから目に付いた、とか?
再度ピアスに視線を向けたと同時にそんなことを思って、これをつけた煌君を想像してみる。
……絶対似合う。
この際だから、なんでも似合いそうでムカつくことは置いといて。
折角のクリスマスだし、買おうかな⁇