あの春、君と出逢ったこと
手の中にあるピアスを軽く握りながら、レジに向かう。
これくらいの出費なら、少し痛いだけだし。
あのブレスレットと同じくらいだし、我慢すれば大丈夫だしね!
お金を払って、定員さんにラッピングしてもらってからお店を出る。
……そういえば、こう君がお店の中で待っとけとか言ってたけど。
別に、ベンチの方でも良いよね?
ラッピングして貰ったピアスを片手に、お店の前にあったベンチに腰をかける。
喜んでくれると良いけどなぁ。
足をブラブラさせて、ベンチに座りながら待っていると、肩を叩かれて振り返る。
煌君、今日よく肩叩くよね?
声、かければ良いのに。
何となく、意地悪したくなってきた私は、気づかないふりをして携帯をいじる。
『無視しないでよ。オネーさん』
そんな私の耳に、後ろから聞きなれない声が聞こえて、思わず振り返ってしまう。
『やーっと振り返った!』
後ろにいたのは、チャラい男が2人で。
ニヤニヤしながら私を見ていた。
『……何のようですか』
男たちに、身の危険を感じて、冷たい声でそう言ってその場から立ち去ろうとする。
『おっと、どこか行くの?
俺たちと遊ばねえ?』
立ち去ろうとした私の前に立った男が、そう言って腕を掴んでくる。
『離してくれませんか⁈
連れがいるんです‼︎』
『なになに⁇
その女の子も一緒に遊べば良いじゃん』
女の子じゃないから!
そう思いながらも、男達の腕を振り払うために体をひねる。
誰が自分からこんな男達に付いて行くの。