あの春、君と出逢ったこと
『行くか』
『お願いします‼︎』
そう言って、プレゼントを片手に、隣をあるく煌君を盗み見る。
……結構タイミングってないもんなんだな。
タイミングを伺っているうちに、いつの間にか家の前についていて。
煌君についた事を言われて、何も考えずに慌ててプレゼントを煌君に突き出す。
『ん?』
いきなり突き出されたプレゼントを受け取り、煌君が首をかしげる。
まぁ、確かにいきなり渡されたら驚くとは思ってたから、想定内‼︎
『これ、私からのクリスマスプレゼント!』
この際タイミングなんて細かい事なんて考えない事にして、そう言って笑った。
そんな私を見て、なぜか固まったまま動かない煌君を見て、やっぱりタイミングが悪かったのかと心配になる。
……それか、私からのクリスマスプレゼントなんて要らない、とか。
頭の中に、次から次へとネガティブな思考が広がっていって、打ち消すために思わず頭を横に振る。
『……も』
そのまま煌君に何も言わずに家に逃げ込もうとした瞬間、煌君が何かを呟いた。
『煌、君?』
そんな煌君に首をかしげると、ふっと、口角を緩めて笑った煌君が、私の手に何かを握らせる。
『これ……⁇』
握らせた何かを見ると、細長い箱で、綺麗にラッピングが施されていた。
『それ、俺からのクリスマスプレゼント』
そう言った煌君に、思わず顔を上げる。
『煌君……ありがとう!』
煌君から貰ったプレゼントを握りしめて、満面の笑みで煌君にお礼を言った私に、煌君が近づいてきて、プレゼントを取り上げる。
『え?!』
驚いて声を上げると、プレゼントを片手にニヤッと笑った煌君が、なぜかラッピングを破っていく。
『煌君⁇』
完全にラッピングを破った煌君が、私に目を閉じるように指示して、それに従って目を閉じる。