あの春、君と出逢ったこと
煌君の気配を近く感じたのと同時に、手にヒヤッとしたものを感じて、思わず目を開く。
『……煌君、何でこれ』
『欲しかったんだろ?
結構見てたし』
そう言って笑った煌君から、手首につけられたブレスレットに視線を移す。
それはさっき、私が買おうか迷ったやつで。
煌君がいきなりお店を出ようとした理由に今更気付いて、笑みを浮かべる。
『ありがと、煌君‼︎』
『……どういたしまして。
俺の、開けてもいいか??』
煌君の言葉に頷くと、それを見た煌君が丁寧にラッピングを剥がしていく。
……煌君、さっきラッピング勢いよく破ってたよね?
まるでそれが気のせいだったのかな? と思わせるほど綺麗にラッピングを剥がした煌君が、中に入っていた箱を開ける。
『……琹莉、ありがとな』
箱からピアスを取り出して、自分の耳につけた煌君が、そう言う。
『どういたしまして。
そうだ。
煌君、今更だけど!
メリークリスマス!!!』
そんな煌君に、そう言って笑うと、私に笑いかえした煌君も、小声でメリークリスマスと呟いたのだった……。
12月。
少し甘いのは、
きっとこの日のせいで。
聖なる夜に。
メリークリスマス