あの春、君と出逢ったこと
『15〜‼︎ 14〜‼︎』
時計を見て、慌ててテレビをつけると、つけたテレビから、カウントダウンが流れてくる。
この時間からきっと、この番組だけじゃなく、どの番組にしようとカウントダウンが流れているはずだ。
カウントダウンが10を切ったのを見て、テレビに合わせて私もカウントダウンを始める。
『3……2……1……‼︎』
1。と言った瞬間、携帯が物凄い音を鳴らして震えて、思わず肩を上げた。
……マナーモードにしてなかったや。
驚きながらも携帯に手を伸ばし、ディスプレイを見て、また驚いてしまう。
ディスプレイを見たまま、暫く固まってしまったせいで携帯が鳴りやみ、テレビの音が大きく聞こえた。
……驚きで、取るタイミングを失ってしまった。
そう思い、鳴り止んだ携帯を片手に溜息をついた瞬間、また大きい音を立てて携帯が鳴り出す。
ディスプレイを確認すると、さっきと同じ名前が表示されていて、慌てて受診ボタンを押して耳に当てる。
『……もしもし』
電話越しに聞こえる声は、いつもよりかすれて聞えるせいで、耳がくすぐったくなる。
『……もしもし、煌君、だよね?』
『そうだけど』
そこで、会話が終わる。
煌君、何かあるからワザワザ電話かけてきたんだよね⁇
なのに沈黙が流れるってなんでだろ。
『……栞莉』
そう思いながら、かける言葉を探していた私の名前を煌君が呼ぶ。
『ん……⁇』
何故かわからないけど、電話越しだからか、緊張して、いつものように言葉が出てこない。
『今日、空いてるか?』
思ってもみなかった事を突然言われ、思わず固まる。
……今の、煌君だよね?
今日空いてる⁇ って言ったよね……⁇
『……琹莉⁇』