あの春、君と出逢ったこと
さっきまでの自分を、何を考えていたのかと馬鹿にしたくなる。
でも、少しの間でも。
浮かれてた時期は楽しかった。
『そう、だったのね』
信じられないようにそう言った翠に、笑みを見せる。
『うん。
でもね? 私、翠と友達になれてよかった‼︎』
『……当たり前よ』
笑ってそう言った私に、翠も笑ってそう返してきた。
話しながら2人で笑っていると、病室の扉が開いて、叔父さんが入ってくる。
『琹莉。
お前、今日から入院だ』
そして、悔しそうな表情で、私の聞きたくなかった言葉を放った。
『なんで……』
『お前、体が動かなくなってきてるだろう?』
叔父さんの言葉に反論を示すかのように、ベッドから立ち上がろうとするも、左足に力が入らない。
左手も、動かなかった。
『そんな……っ、何で、何で動かない⁉︎』
今まで、咳とか噛んだりするだけで、自分が病気だという自覚があまりなかったように感じたのに。
今、この状態はまさに、それらを自覚させるようなことで。
それを受け入れきれず、無理やり動かそうとする私を見て、叔父さんが声を張り上げた。
『動かないのが現実なんだ。
お前には、少しでも改善できるように、入院しながらリハビリをしてもらう。
……終業式は、出るだろ?』
叔父さんの言葉に、唇を噛み締めながら、涙をこらえる。