あの春、君と出逢ったこと
『栞莉〜、遅刻するわよー!』
そんな声が聞こえて、目を覚ます。
上を見上げてると、見慣れた白い天井ではなく、私のお気に入りの、夜に光る星が散らばっている天井で。
ここが病院では無い事を知る。
……そうだ、私、昨日から家に戻ってきたんだ。
今日の、終業式に出るために。
この日のために病院でリハビリを頑張って、薬にも耐え続けたんだし。
『今、行く!』
用意されていた制服に腕を通し、フラつく足に力を入れて、ゆっくり階段を降りる。
『久しぶりだからって寝過ぎよ?
送ってくから、用意しなさい』
そう言いながら、バタートーストを私に渡して先に出て行くお母さんの後ろ姿を、尊敬の眼差しで見つめる。
『……さすが』
バタートーストを一口かじり、口元に笑みを浮かべ、急いで準備を終わらす。