あの春、君と出逢ったこと




『まぁまぁね』




素っ気なくそう言った翠に、快斗君がニヤニヤしながら煌君の肩から腕を離し、翠に近づいていく。




『翠チャンって、ツンデレだよな?』


そう言ってニヤリと笑う快斗君に、翠の眉間に、どんどんしわが寄っていく。




『……何言ってるのよ』



『絶対ツンデレだって!

栞莉チャンもそう思うだろ?』




イキナリ私に話をふってきた快斗君に、思わず固まる。


だから、何でこんなタイミングで私に話をふってくるの?!



『……知らねーよ』



『煌には聞いてねーよ!』



私がアタフタしていると、私の隣でそう言った煌君に、すかさず快斗君がツッコミを入れる。


……助かった。






『……翠達、次試合だろ』




私が一息ついたのも束の間、煌君がそんな爆弾発言を落とす。



『……へ?』






試合?


煌君、今、試合って言ったよねっ⁉︎




『み、翠、急ごう!』




慌てて翠の手を引いて、隣のコートに向かって走る。




『……栞莉、私、イキナリ走らないでって言ったわよね?』




私を見て溜息をついた翠が、いつもより少し低めの声でそう言う。



そんな翠からワザとらしく視線を逸らした私を見て、翠が2度目の溜息をついた。



『まぁ、いいわ。


これで試合終わりなんだから、頑張るわよ?』





ボール片手にこっちのコートに向かってくる山先生を見て、翠がそう言って腕まくりをする。




……翠、白いね。


腕まくりした翠の肌は、思っていたよりも白くて驚いてしまう。



白いとは思ってたけど、ここまでとはね?




『……くだらないこと考えない。


試合に集中しなさい』




そんな私の考えを見透かすかのようにそう言った翠は、山先生がつく前に位置につく。




『はいはーい』






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