あの春、君と出逢ったこと
実は、煌君が風邪ひいたということに結構驚いてるんだよね。
だって、あの煌君だよ!?
病原体にでさえ毒づいてそうなんだもん。
ウィルスがかわいそうになるくらい酷いこと言って撃退しそうだし……。
もしかしたら、弱っている今の煌君になら口喧嘩で勝てるかも!
それで勝てなかったら、私が弱すぎるってことだしね?
病人には勝てる気がするし。
そんな事を考えながら、放課後を待ち1日の授業をすべて受け終える。
最後の鐘を聞き、一斉に周りの皆が帰る準備を始める。
そんな周りに合わせて、私も慌てて準備する。
いつの間にホームルーム終わったんだろう……。
私、担任の話全く聞いてなかったよ。
『行くわよ、栞莉』
『置いてくぞ、栞莉チャン!』
1人で悶々と考えながら準備をは進める私に、先に準備を終えた翠と快斗君が教室の扉の方から私を呼んでいるのを見つける。
『今行く!』
それの言葉と同時に、急いでリックサックを肩にかけて2人の元に駆け寄る。
『じゃあ、行くわよ』
翠の言葉に頷いて、隣同士で並ぶ翠と快斗君の後ろから付いて行く。
……これ、私お邪魔だよね?
端から見たら、絶対にカップルの後ろを付いて歩く1人ぼっちの女に見えてるよね?
あの2人、付き合えばいいのに……。
並ぶ2人の後ろ姿を眺めながらそんな事を思っていると、突然立ち止まった2人が同時に私の方を振り返る。
『栞莉、置いて行くわよ?』
『栞莉チャン置いて行くぜ?』
……ほら!
ハモるくらい仲良いんだよ⁉︎
まぁ、その当の本人達は、ハモったことに文句をつけて言い争いを繰り広げてるけど。
『真似しないでよね』
『真似したのはそっちだろ‼︎』
『私の方が先に言ってたわ!』
『俺が言葉を発する前に言っただけ!』