あの春、君と出逢ったこと
しばらく言い争いを続けていた2人が、いきなり私の方を振り返りながらお互いを睨み合う。
『栞莉??
どう考えても、快斗が真似したわよね?』
『はぁ⁉︎ 俺の方が先だっての』
やっぱりここで私に振るんですね、話を。
私に、お互いが悪いと主張してくる2人を見て盛大に溜息をつく。
『さぁ、ね?
どちらかといえば、私がお邪魔かなぁ……』
呟くようにしていった私の言葉に、二人が首をかしげる。
んー……まだ分からないか。
絶対両思いだと思うんだけどな、私は。
『分かんないならいーや!
翠、まだ着かないの?』
私が言うよりは、2人が気づいた方がいいよね?
そんな事を考えながら、翠の隣に駆け寄ってそう聞く。
気づかないなら、今日だけは邪魔するからね!
1人ぼっちとか嫌だし。
『もう直ぐ着くわよ』
『本当⁇』
『栞莉チャンって、本当元気だよなー』
翠の言葉に嬉しそうに返した私の言葉を聞いて、翠の隣で歩く快斗君がそう言う。
『……そう、かな?』
一瞬曇ってしまった表情を慌てて笑顔に変えて、快斗君に向かってそう答える。
そんな私に気づかなかった快斗君に、1つ溜息をつく。
何だろ、今日。
固まる事が多い日だな……。
『栞莉、もう見えてるわよ』
ボーッとしながら歩いていた私に聞こえるようにか、少し大きめの声で翠がそういう。
そんな翠の言葉に、慌てて周りにキョロキョロと視線をめぐらせて、翠と煌君の家っぽい家を探してみる。
……ん?
家っぽい家ってなんだろう?
2人が住んでそうな雰囲気の家って事⁇
まぁ、なんでもいいか。