あの春、君と出逢ったこと
煌君の言葉にそう返した私を見て、煌君がさっきとは違う、優しい笑みを浮かべる。
『たくさん、やってみたい事あるんだよ⁇
だけど、私が考えていたのよりも、快斗君の夏休み計画の方が楽しそうだったから。
それに賛成!』
私の言葉に反応して、快斗君も身を乗り出して話に入ってくる。
『さすが栞莉チャン。分かってるな!』
嬉しそうにそう言った快斗君に、親指を立ててニッと笑う。
そんな私を見た快斗君も、私と同じように親指を立てて笑った。
『栞莉が良いなら、私も賛成』
私の隣で右手を上げてそう言った翠に、笑顔で抱きつく。
『翠〜‼︎』
そんな私を受け止めて、ウザがるわけでもなく適当にあしらった翠から、シブシブ離れる。
『煌君は、何かしたい事ある?』
私達を見て笑っていた煌君に、そう話を振る。
煌君甘党だから、お菓子めぐりとか、食べ歩きとかやってみたいのかな?
1人でそう考えていた私を見て、煌君が眉間にしわを寄せる。
『……誰も、お菓子めぐりなんて行かねえよ』
そう言った煌君に思わず目を見開く。
な、何で私の考えてること分かったの!?
翠もだったし、やっぱ双子はお互い同じような力がある、とか……⁇
『栞莉、口に出てるのよ』
私の隣に座る翠が、呆れたような声色でそう言うと、快斗君も煌君も、賛成するように私に頷いてみせる。
『出て……た⁇』
持っていたペンをカチカチッと音を鳴らしながらノックして、誤魔化すようにそのペンで頭を掻く。
……声出てるから、毎日緑は私の思考が読めてるってことだよね、それ。
私、怖いじゃん!
無意識で口にしてるなんて、本当恐ろしい限りだよね?