あの春、君と出逢ったこと
朝倉煌って、煌君だよね……⁇
『えっ!?』
見間違いかと思い、目を摩って何回見直しても、朝倉煌の名前が目に入る。
……私の、名前の隣に。
今回の1位は翠だよね?
それは、さっきこの目で確認したし、その事で煌君と喧嘩してたし‼︎
それで、一点差で煌君が2位だったんだよね?
……喧嘩の原因がそれだから、忘れるわけないもん。
そうなるとすると……煌君の名前の隣に私の名前があるってことは、私が3位って事……だよね⁇
『……快斗君』
呆然と順位を見上げる私の隣で、ニヤニヤと口角をあげて笑う快斗君の名前を呼ぶ。
『……ごめん、私、幻覚が見えるみたいだから、少し人だかりから出るね』
だって、私が3位だよ?
衝撃的すぎて、頭が回らないというかなんというか……。
そりゃあ、今回は補習組もかかってたから結構頑張って勉強したつもりだけど。
確かに、煌君との差は20点ほどあったけど!
自分が3位を取ったって事が、いつまでたっても信じられない。
『ちょ、栞莉チャン⁉︎』
後ろで、快斗君が慌てて私を呼び止める声が聞こえたけど、ごめん。
ちょっと今は返事できないっていうか、頭が回らないというか……。
嬉しかったのは嬉しかったんだけどね?
私には衝撃が強すぎたかな……なんて。
もし、今回の順位が本当なら、100%翠先生のおかげだよね。
分かんないところ、1から細かく教えてくれたし。
『そっか‼︎ 翠の教え方が良かったんだ!』
ボーッとしながら頭をよぎった考えに、ハッと我に返る。
翠なら、私でも上位になれるくらい教え方が上手くても納得だもん。