妻に、母に、そして家族になる
ハルくん本当にこの人を信用していなかったのかな……。

私はそうは思えなかった。

離婚したばかりの頃は彼を信用していない部分があったかもしれないが、夏に公園で話していた頃のハルくんからはそういうのは感じなかった。

むしろ忙しい信濃さんを心配するようなことを言っていたのを覚えている。

「本当にハルくんは信濃さんを信用していなかったんでしょうか。私はそう思いません」

「どういうこと?」

「えーと、上手く説明できるか分からないんですけど、ハルくんは本当に聡い子供なんです。それに気遣い屋さんで、多分ですけど仕事とか家事で忙しい信濃さんを見てて、迷惑を掛けたくなかったんじゃないでしょうか」

ボクが甘えたらお父さんは迷惑じゃないかな。

我が儘を言って嫌われたらどうしよう。

嫌われたらお父さんも居なくなっちゃう。

それなら我慢しよう。

……そんな気持ちがハルくんの中にあったと思う。
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