妻に、母に、そして家族になる
一緒に暮らすようになってから知ったのだが、彼は朝が弱いらしい。

「おはようございます。お湯湧いてますよ」

「ああ、ありがとう」

彼は朝食ができるまでコーヒーを飲みながら朝刊を読むのが日課。

インスタントコーヒーにお湯が注がれると、コーヒーのほろ苦い香りがキッチンまで漂ってくる。

作った味噌汁とコーヒーが混ざった朝の香りは結構好きだ。

信濃さんが新聞を読み終わる頃、パジャマ姿のハルくんがリビングにやってくる。

毎日ちゃんと一人で起きてくるから偉い。

「お父さん、フミちゃん、おはよ~」

その顔は信濃さんと同じ、目が覚めきっていないぼんやりとしたもの。

見た目が彼のミニチュア版のようなハルくんだけど、朝が弱い所までも彼そっくりなのだ。
< 66 / 128 >

この作品をシェア

pagetop