妻に、母に、そして家族になる
出来たてののり弁を袋に入れて男の子を呼ぶと、男の子は母犬についていく子犬のように駆け寄ってくる。

ああ~、可愛い。可愛すぎて力が抜けそう。

……ダメダメ。今は仕事中なんだからしっかりしないと。

心の中で自分を叱り、男の子からお金を貰ってお弁当を手渡す。

「はい、どうぞ。気を付けて帰ってね」

「ありがとう、お姉ちゃん」

お店を出る寸前にばいばいと笑顔で手を振られたら、もう……ノックアウト。

あの男性に顔が似ているから尚更破壊力抜群……。

しばらく幸せすぎて立ち直れそうにありません。
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