クールな御曹司と溺愛マリアージュ
不器用な君からのXX
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「正面はこちらのシャンパンゴールドの照明に変更ということで、お願いします」
デパート内で行われる各ブランドの洋食器や陶器ガラス製品など、テーブルウェアの展示会の開催が明後日に迫っていた。
朝から成瀬君の代わりにデパートへ足を運んだ私は作業を少し手伝い、成瀬君の指示通りに進み具合を確認し、デパートを出たのは十五時。
駅につき電車を待っていると、鞄の中のスマホが震えた。
「はい」
『佐伯だ。そっちはどうだ』
「今ちょうど出たところです」
『そうか、お疲れさま』
「何か必要な物があれば帰りに買って行きますけど」
『いや、大丈夫だ。気をつけて帰ってこいよ』
「分かりました」
僅かに笑みを浮かべた私はスマホを鞄にしまい、会社に戻る為に電車に乗り込んだ。
私が外出した時、佐伯さんは必ず『気をつけて帰ってこい』と言ってくれる。
ほんと、子供じゃないんだからっていつも言ってるのに、心配性だな。
コンペのデザイン変更を決めてから一ヶ月が経過し、締切まで五日を切った。
そろそろ仕上がる頃だろうけど、私は三人を信じて自分の仕事やみんなの手伝いに精一杯の力を注いできた。
ただの事務員だった私が、こうして時々外回りも任せてくれるようになり、忙しいけれどやりがいを感じている。
家で過ごす時間は来年の夏季検定に向けて資格の勉強。
こうして過ぎていく毎日の中で、ひとつだけ自分の中で決めていることがある。
コンペが終わったら、佐伯さんに自分の気持を伝えたい。
本当はもう随分前から言いたかったけれど、今は佐伯さんの気持を乱したくなかったし、せめてコンペが終わるまではと我慢してきた。
だからその時がきたら、今まで溜めていた佐伯さんに対する気持を全てぶつけたい。
玉砕覚悟だけれど、自分に自信がなくて俯いてばかりいたあの頃と違って、私はもう前しか見ていないから。