クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「柚原」
「はい……ごめんなさい。私、急に不安になっちゃって。気付いたら勝手に言葉が出てたっていうか……」
俯いている私の手を握り、自分の方にゆっくりと引き寄せた佐伯さん。
「あの、本当に……」
徐々に近づいてきた佐伯さんが、私の耳元で囁いた。
「これだけは覚えておけ。俺が愛しているのは……恵梨だけだ」
ーー「えーそれでは、最優秀賞を受賞された株式会社ワームデザイン佐伯渉さん、宜しくお願いします」
司会の人の声が会場内に響き渡ると、佐伯さんは私の手をギュッと握ったあと、正面のマイクに向かって歩き出した。
ずっと見ていたその背中が涙で霞んでしまいそうで、必死に涙を拭う。
私もです。
ずっとずっとこの先も、私は佐伯さんを……愛しています。