クールな御曹司と溺愛マリアージュ
ワームデザインで働く事務員が決まったんだ。
今日何度目か分からない溜め息をつき、佐伯社長から目の前のパソコンに視線を移す。
いくら頭にきたとはいえ、社長にあんな言い方をしてしまったのはまずかったかな。
少しだけ気まずいけど、きっと社長は私のことなんてすっかり忘れているだろう。もしくは昨日の失礼な女、くらいにしか思ってないはず。
「あ、イケメン社長動きましたよ。誰になるんですかね?」
有希乃ちゃんの言葉通り、急にフロア内がざわつき始める。
諦めたとはいえ誰が受かったのかは気になるから、少しだけ目線を上げて部長の席から歩いてくる佐伯社長の姿を見つめた。
ん?やっぱり五年前の眼鏡だからか、レンズが合ってないのかもしれない。
佐伯社長との距離はそれほど遠くないのに、どうも目が合っているように見えたから。
徐々に大きくなる靴の音、それに比例するかのように私の心臓の音も大きくなっていく。
そんなはずない。きっと私の後ろを通り過ぎて、その先にいる人が……。
だけど、私たち経理課のデスクの後ろには、書類がしまってある大きな棚しかない。
すると、有希乃ちゃんが私の腕をポンポンと叩きながら興奮気味に「来た来た」と言っている。
何度も言うけど、そんなはずないんだ。
でもいくらレンズが合わないからって、この距離が見えないはずがない。
だって今、佐伯社長は私の横に立ち止まり、その目は紛れもなく私を見ているから。
その大きくて綺麗な目を見つめたまま、私は息を飲んだ。
何か言わなければいけないんだろうか。だけど驚き過ぎて、言葉が出てこない。
今日何度目か分からない溜め息をつき、佐伯社長から目の前のパソコンに視線を移す。
いくら頭にきたとはいえ、社長にあんな言い方をしてしまったのはまずかったかな。
少しだけ気まずいけど、きっと社長は私のことなんてすっかり忘れているだろう。もしくは昨日の失礼な女、くらいにしか思ってないはず。
「あ、イケメン社長動きましたよ。誰になるんですかね?」
有希乃ちゃんの言葉通り、急にフロア内がざわつき始める。
諦めたとはいえ誰が受かったのかは気になるから、少しだけ目線を上げて部長の席から歩いてくる佐伯社長の姿を見つめた。
ん?やっぱり五年前の眼鏡だからか、レンズが合ってないのかもしれない。
佐伯社長との距離はそれほど遠くないのに、どうも目が合っているように見えたから。
徐々に大きくなる靴の音、それに比例するかのように私の心臓の音も大きくなっていく。
そんなはずない。きっと私の後ろを通り過ぎて、その先にいる人が……。
だけど、私たち経理課のデスクの後ろには、書類がしまってある大きな棚しかない。
すると、有希乃ちゃんが私の腕をポンポンと叩きながら興奮気味に「来た来た」と言っている。
何度も言うけど、そんなはずないんだ。
でもいくらレンズが合わないからって、この距離が見えないはずがない。
だって今、佐伯社長は私の横に立ち止まり、その目は紛れもなく私を見ているから。
その大きくて綺麗な目を見つめたまま、私は息を飲んだ。
何か言わなければいけないんだろうか。だけど驚き過ぎて、言葉が出てこない。