クールな御曹司と溺愛マリアージュ
うちの会社に制服はなく、よほどカジュアルや派手でなければ基本的に服装についての細かい決まりはない。

だからこそ、これまで何度制服が出来るのを願ったことか。

私だって本当はお洒落だと思われたいから自分なりに色々模索したけれど、自分に似合わないと思う服を着たくはないし、だからと言って自分に合うお洒落が何なのか結局未だ分らずにいる。

肩下十センチ程伸びた髪も、巻いたりカラーをしたり色々試したけれど結局どれもしっくりこなくて、今は仕事中邪魔にならないようにと一つに纏めているだけの状態。

センス無いのに頑張ってると周りから思われるくらいなら、今まで通り地味でダサいままの方がましだ。



「まさか〝あの社長〟目当てだったりして……」


初見さんは本当に変わらないな。そうやって男の人の事となると、急に喋り方が変わるところ。

男性の前では決して出さない声色を、私は過去に何度も聞いてきた。

そんな初見さんがこの面接を受けることは、一週間前にワームデザインの社長が挨拶をしに来た時点で分かっていた。

初見さんだけじゃない。社長の存在を知った途端、面接希望者が急増したのだ。



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