クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「いや、いい。というか……」
私を見つめたまま、急に立ち上がった社長。
「飲み物は自分が飲みたい時に勝手に飲む。いちいち入れたりしなくていいし、そんなことは気にするな」
「はい、すみません」
「それから……。その社長っていうのをやめてくれ」
「えっ?」
意味が分からずに首を傾げると、佐伯社長は私の横を通り過ぎ、そのままカップを手に持ってポットからお湯を注いだ。
「社長じゃなくて、名前でいい」
お湯の入ったカップに紅茶のパックを入れながら、社長が呟いた。
「名前……というのは?」
「だから……呼び方だ。社長と呼ばれるのは好きじゃない」
チラッと一瞬私を見た後、ばつが悪いといった表情を浮かべてまた紅茶に目線を落とした佐伯社長。
「では、佐伯さん……と呼ばせてもらいます」
「……それでいい」
紅茶をひと口飲んだ後そう言って顔を上げた佐伯さんは、私を見て少しだけ微笑んだように見えた。
今のじゃ普通は微笑んだうちに入らないのかもしれないけど、あまり感情が顏に出ない佐伯さんだからか、少しの変化にも気付いてしまう。
「佐伯さんは、どうして私を……」
ーーカチャッ
「ただいま戻りましたー!」
私の言葉は成瀬君の大きな声に遮られてしまったけれど、戻ってきた二人と話しをしている佐伯さんから、私は視線を逸らせずにいた。
いつものように真剣な表情で話をしている佐伯さん。
それは面接の時と何ら変わらないはずなのに、ふと笑った時の佐伯さんの顏が浮かんでしまう。
たった一瞬のあの笑顔が、何故か私の心を勝手に掻き乱すんだ……。
私を見つめたまま、急に立ち上がった社長。
「飲み物は自分が飲みたい時に勝手に飲む。いちいち入れたりしなくていいし、そんなことは気にするな」
「はい、すみません」
「それから……。その社長っていうのをやめてくれ」
「えっ?」
意味が分からずに首を傾げると、佐伯社長は私の横を通り過ぎ、そのままカップを手に持ってポットからお湯を注いだ。
「社長じゃなくて、名前でいい」
お湯の入ったカップに紅茶のパックを入れながら、社長が呟いた。
「名前……というのは?」
「だから……呼び方だ。社長と呼ばれるのは好きじゃない」
チラッと一瞬私を見た後、ばつが悪いといった表情を浮かべてまた紅茶に目線を落とした佐伯社長。
「では、佐伯さん……と呼ばせてもらいます」
「……それでいい」
紅茶をひと口飲んだ後そう言って顔を上げた佐伯さんは、私を見て少しだけ微笑んだように見えた。
今のじゃ普通は微笑んだうちに入らないのかもしれないけど、あまり感情が顏に出ない佐伯さんだからか、少しの変化にも気付いてしまう。
「佐伯さんは、どうして私を……」
ーーカチャッ
「ただいま戻りましたー!」
私の言葉は成瀬君の大きな声に遮られてしまったけれど、戻ってきた二人と話しをしている佐伯さんから、私は視線を逸らせずにいた。
いつものように真剣な表情で話をしている佐伯さん。
それは面接の時と何ら変わらないはずなのに、ふと笑った時の佐伯さんの顏が浮かんでしまう。
たった一瞬のあの笑顔が、何故か私の心を勝手に掻き乱すんだ……。