クールな御曹司と溺愛マリアージュ
カツカツと靴を鳴らして社長の横に立つと、スーツの良く似合う長い手足に清潔感のある髪型が目に入ってきた。


『初めまして。このたび株式会社ワーム・デザインの社長に就任することとなりました、佐伯渉です』


薄い唇から発せられる低い声に、何故だか胸がドキッと高鳴った気がした。

綺麗な二重だけどどこか冷たく感じる切れ長の目に、筋の通った高い鼻。整ったその顔はモデルや俳優だと言われても疑わないほど、なんて言うか……。


『めっちゃイケメンですね』

そう、有希乃ちゃんの言う通り、イケメンだ。



『なんだ?私に息子がいたこと、みんな知らなかったか?彼は大学で建築学を学んだ後、海外大手家具メーカーで勤務していたんだ。私に似て男前だろ』

冗談なのか本気なのか、笑っていいのか分からずみんな苦笑い状態だ。


でも確かに社長も痩せたら割とダンディーだろうなとは思ってたけど、それでも佐伯渉さんの容姿は完璧すぎる。


チラッと佐伯渉さんの方を見ると、少し嫌そうな表情で眉をひそめながら社長の言葉を遮るかのように一歩前へ出た。

オーラが見えるわけではないけど、なんとなく威圧感というか存在感が凄いと感じた。

その証拠に、さっきまでのざわめきが嘘のようにフロア内が静まり返る。




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