クールな御曹司と溺愛マリアージュ
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「どうしよう。ねぇどうしよー」
『恵梨さん、さっきからそればっかりですよ』
「だって分からないんだもん」
佐伯さんに送ってもらった私は、家に帰ると一目散に有希乃ちゃんへ電話をかけた。
気づいてしまった自分の気持と上手く向き合えずに、どうするべきなのか本当に悩んでしまったから。
年下の有希乃ちゃんに相談するなんて情けないけど、彼女なら真剣に話しを聞いてくれるし、ハッキリと思ったことを言ってくれる。
『なにが分からないんですか?好きなんですよね?』
「うん、多分……」
『多分ってなんなんですか?そこマジで結構大事ですよ?もしかして自信がないから好きになったら辛いだけだし、認めたくないとかそんなこと思ってませんよね?』
なんだか有希乃ちゃんの口調が怒ってるように聞こえるし、ズバリ私の心を読まれてしまった。
「それも、あるかな」
『はぁ……』
あの可愛い顔からは想像も出来ないほどの深い溜め息が聞こえてきた。
『そんなこと考えてたらつまらなくないですか?確かに片思いは辛いこともあるけど、基本的に恋愛って楽しいものなんです。そんな風に最初っからまだ始まってもいないのにマイナスなイメージばかり持つなら、やめた方がいいですよ』
とても厳しい言葉だけど、その通りだ。
冷たく聞こえるけど、私の為に言ってくれてるというのは分かる。
「そうだよね。私本当にあの事件から自信を無くしちゃってさ、どうせ……ってすぐに思っちゃうの」
『あぁ、あのしょうもない男か。あんな人もいましたよね』
でた、有希乃ちゃん得意の毒吐き。
『でもあの人と佐伯社長は別ですよ。もう二年以上前のことだし、そこをまず切り離しましょう』
「うん、そうだよね」
確かに私自身の気持も、河地さんの時とは全然違う。
『ていうか電話じゃなくて今度飲みに行きましょうよ。やっぱり会って話さないと上手く言えないし』
「うんそうだね、また連絡するから予定合わせよう。こんな時間にごめんね、ありがとう」
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