クールな御曹司と溺愛マリアージュ
*
夕方会社に戻ってきた成瀬君からカフェの改装状況を詳しく聞き、写真も見せてもらった。作業は順調なようで、あと一週間程度で完成予定。
私はというと、佐伯さんから頼まれていた仕事や通常の業務などをこなして今日は定時にあがらせてもらい、その足でデパートへ向かった。
まずは本屋で拓海さんから教えてもらった雑誌をいくつか購入。その後有希乃ちゃんとの待ち合わせの時間がくるまでデパート内の洋服を見て回っていた。
「暗い色はダメで、無難に白とか涼し気な色がいいのかな……」
ブツブツとひとり言を呟きながら歩いていると、鞄の中から微かに着信音が聞えてきた。画面には佐伯さんの文字が表示されている。
「はい、お疲れ様です」
『お疲れさま。明日のことだけど』
明日……そうか、明日は佐伯さんと一緒に次のクライアントに会いに行くんだ。
『会社には行かなくていいから、直接十時に渋谷駅に来てくれ』
「十時……ですか?」
確かアポは十三時だって拓海さんが言ってた気するけど。
『そうだ、遅れるなよ』
「はい分かりました」
三時間も前に待ち合わせって、どこか他にも寄る所があるのかな?
『じゃーそういうことで』
「あっ、あの!」
電話を切られそうになった瞬間、咄嗟に声を出した。
『なんだ?』
「えっと、私……あの、カラーコーディネーターの資格を取ろうかと思ってるんです。少しでも皆さんの役に立ちたくて、それから私自身も変えたいって思ったから」
『……そうか。頑張れよ』
少しの沈黙の後、佐伯さんの低い声が私の胸の中に届いた。
とても短い言葉だけど、『頑張れ』という佐伯さんの言葉だけで、それだけで私は頑張れる。
夕方会社に戻ってきた成瀬君からカフェの改装状況を詳しく聞き、写真も見せてもらった。作業は順調なようで、あと一週間程度で完成予定。
私はというと、佐伯さんから頼まれていた仕事や通常の業務などをこなして今日は定時にあがらせてもらい、その足でデパートへ向かった。
まずは本屋で拓海さんから教えてもらった雑誌をいくつか購入。その後有希乃ちゃんとの待ち合わせの時間がくるまでデパート内の洋服を見て回っていた。
「暗い色はダメで、無難に白とか涼し気な色がいいのかな……」
ブツブツとひとり言を呟きながら歩いていると、鞄の中から微かに着信音が聞えてきた。画面には佐伯さんの文字が表示されている。
「はい、お疲れ様です」
『お疲れさま。明日のことだけど』
明日……そうか、明日は佐伯さんと一緒に次のクライアントに会いに行くんだ。
『会社には行かなくていいから、直接十時に渋谷駅に来てくれ』
「十時……ですか?」
確かアポは十三時だって拓海さんが言ってた気するけど。
『そうだ、遅れるなよ』
「はい分かりました」
三時間も前に待ち合わせって、どこか他にも寄る所があるのかな?
『じゃーそういうことで』
「あっ、あの!」
電話を切られそうになった瞬間、咄嗟に声を出した。
『なんだ?』
「えっと、私……あの、カラーコーディネーターの資格を取ろうかと思ってるんです。少しでも皆さんの役に立ちたくて、それから私自身も変えたいって思ったから」
『……そうか。頑張れよ』
少しの沈黙の後、佐伯さんの低い声が私の胸の中に届いた。
とても短い言葉だけど、『頑張れ』という佐伯さんの言葉だけで、それだけで私は頑張れる。