クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「辛口のアドバイスでよければいつでも相談に乗りますからね」

「有希乃ちゃん、本当にありがとね」

「今度はワームデザインのみんなと飲みに行きたいなー。話を聞く限り、私なら伊勢谷さんを好きになっちゃいそうだけど。優しいけどちょっと危険な香りがする男、堪らないです」

可愛い顔してそういうことを言っちゃうところが有希乃ちゃんらしい。

そういえば有希乃ちゃんと成瀬君って、同期じゃなかったっけ?


「あのさ、もしかして成瀬君とは同期?」

「あーはい。成瀬とは研修から一緒でしたよ。部署が全然違うから会うことはあまりなかったけど、同期の中では割と気の合う方だったかな。久しぶりに成瀬にも会いたいな~」

遠くを見るようにして呟いた有希乃ちゃん。
Sっぽい有希乃ちゃんと可愛らしい成瀬君って結構お似合いかも。なんて勝手に妄想を膨らませてしまった。


「じゃー明日頑張ってくださいね。仕事も恋も、また報告待ってますよ」

「うん、ありがとう。またね」



駅で有希乃ちゃんと別れ電車に乗りこんだ私は、ドアに寄り掛かって外を眺める。

窓の外にはうつろに輝く夜の街。

そんな移り行く景色を見ながらも、明日は佐伯さんと二人なんだと思うだけで……胸が激しく揺さぶられるのを確かに感じていた。








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