クールな御曹司と溺愛マリアージュ
思いもよらない佐伯社長の言葉に、私は自分の服を確認するように視線を下げた。

初見さんの言う通りだったのかもしれない。デザインの会社なんだから、センスは重要。
きっと社長は、私の服装がダサいと言いたいんだ。

業務中に会社内で行う面接だから服装は気にしなくていいと言われていたけど、やっぱりスーツにしておけばよかった。


心のどこかで、服装なんかよりもこの会社で働きたいという強い気持が伝われば……と期待していた部分もあった。だけど……。



「はい……。自分で選びました」

諦めたかのように小さくなる声。



「ふーん。似合わないな」


こんなにもハッキリバッサリと言われたのは初めてだった。

初見さんでさえ遠回しに嫌味を言ってくるのに。


「すいません……」

謝る必要なんてないのかもしれないけど、なんだか自分がとても惨めに感じてしまったから。


「初夏なのに、茶色のトップスに黒のパンツって、色が暗すぎる」

「すいません……」

「サイズも合ってない」

「……はい」


もうこれ以上さげられないと思う程俯く私に、佐伯社長は容赦なく言葉を浴びせた。


「何故これを選んだのか理解できない。自分に合わない物を選ばれてしまった服が可哀想だと思うレベルだ」


「……」


「それから、髪型も地味で顔も暗い」


っていうか……、なんでここまで淡々と酷い事を言われなきゃいけないんだろう。

最初は仕方ないと黙って聞いていたけど、さすがにおかしいでしょ!?

顔が暗いのは、今私をめちゃくちゃにけなしているあなたのせいです!



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