孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
Ⅹ.家族
今日はお義母さんの機嫌がいい。
キッチンに立って鼻歌交じりに料理を作っているお義母さんはここ数ヶ月で一番楽しそうだ。
ときより笑い声まで聞こえる。
「…お義母さん、手伝おうか?」
ピンクの花のエプロンを纏った後ろ姿に静かに声を掛ける。
「いらない」
まるでドライアイスのような声だった。
私の心まで凍えそうな、そんな声。
『私は"いらない"』
そういうことでしょ?
「わかった…」
私は自分の部屋に戻る気にはなれなくて、そのままリビングに残りテレビをつけた。
お義母さんはまた鼻歌を歌い始めた。
テレビの中のタレントも楽しそうに笑っている。
この空間でただ私だけが笑えないでいた。