孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
「おかえりなさい!彰久《アキヒサ》さん!結奈!」
彰久というのは、お父さんの名前である。
いつの間にか私の後ろに来ていたお義母さんは何ヶ月ぶりかの満面の笑みを浮かべていた。
「お義母さん!ただいま!」
お姉ちゃんも嬉しそうに笑う。
相変わらず、お姉ちゃんは美人だ。
眩しく、直視できないほどに。
綺麗な紅赤を連想させるようなオーラで包まれているお姉ちゃんに憧れたりしたこともある。
もう今は、そんな愚かな憧れなど捨てた。
私とお姉ちゃんは正反対の人間だと気づいたから。
リビングの付けっぱなしだったテレビからまたタレントの笑い声が聞こえた。
お義母さんも、お姉ちゃんも、お父さんも、笑っている。
この空間に、この空気に触れていると思うと目眩がした。
頭がグラグラして今にも倒れてしまいそう。
───私だけ、笑えない。