孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
朝のSHRが終わると担任に呼び出された。
「高野。その頰はどうしたんだ?」
こうなることは薄々感づいていたんだけど、いざ実際にやられると目立つわ、説明が面倒臭いわで迷惑でしかない。
先生だってこんな面倒ごとには関わりたくないはず。
だって顔に出ちゃってるもの。
それぐらいちゃんと心配そうな演技してよね。
「階段から落ちました。昨日よりだいぶ良くなったのでもう大丈夫です」
「そうか?もし誰かにやられたんだったらちゃんと教えてくれよ。高野になんかあったら大変だからな」
そんなセリフにも担任の裏の感情が丸わかりで、その薄い同情の念に吐き気がした。
全ては私の学力狙い。
「いえ、本当に階段から落ちたんです。ご心配をおかけしてすみません」
「いやいや、ならいいんだ。案外そそっかしいんだな。気をつけろよ」
「はい。ありがとうございます」
余計なお世話だ、ばーか。
心の内で悪態をつきながら、軽く会釈して職員室へ向かう担任を見送った。