孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。


山田さんだか田中さんだか名前は忘れたが、人のスマホ覗き込むなんてデリカシーの欠けらも無いな。


「何?」

冷たい印象にならないように細心の注意を払ってそう言えば、その女子はヘラヘラと笑った。


「誰と連絡してるのかなーと思って」


お前の好奇心で人のプライバシー侵害するなよ。


「お母さんだよ。最近体調崩して入院してるから心配で…」

大きな嘘がペラペラと口から出る自分に自画自賛しつつ彼女に目を滑らせれば、気まずそうな顔をしていた。

だから興味本位で仲良くもない他人の領域に踏み込んでくるのはいけないんだよ。


「なんか、ごめんね…」

「ううん、気にしないで」


控えめに笑みを向けると、彼女は申し訳なさそうに困ったような笑みを返してきた。


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