孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
XIII.運命
数日後。
頬の痣は大分薄くなって、湿布はもう張らずに登校している。
最初は痛いほど感じていた視線も、最近はあまり感じない。
人の噂も七十五日とはよく言ったものだ。
「夏休みってまだぁ?」
この蒸し暑い気候に耐えれず今にも溶けそうな佳穂とその仲間と下校しているのは、あの事件があったから。
これまではこんな集団で下校するなんてことなかったのに。
「その前に期末テストってもんがあるだろ?」
そして同じく溶けそうな隼人が気だるそうに答える。
「俺、今回の範囲やばいんだよなあ。…結愛!俺に勉強教えろよ!」
「は?なんで私が…」
「俺が教えてやろうか、隼人」
「え…、」
私の声を遮り、にこやかに発言したのは紛れもなく湊だった。
湊は表情こそ笑顔なんだけど…、目が笑っていない。