孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。


佳穂はと言えば、お化けの人形が飛び出してくる度に、キャァァァァァァァ!とお手本のような悲鳴を披露していた。


そしてずっと拓にベッタリとくっついたままだ。


拓は佳穂が歩けるようにサポートしている。もう流石としか言えない。


「ユアは怖くないの?」

突然、隣にいた湊が尋ねてきた。

その涼しげな顔は健在だ。


「全く怖くない」


真顔で言い切れば、湊は笑った。


「"目に見えないものは信じられない"だもんな」

「…バカにしてる?」

「まさか」


どうだか。

なんかすごく楽しそうな顔してるんだもの。


「そう言う湊はどうなの」

「俺?俺は幽霊が怖くないって言ったら嘘になるけど、これは明らかに作り物だしなぁ」


それは私も同感だ。

さっき見た女の幽霊はどう見てもマネキンだった。



< 170 / 250 >

この作品をシェア

pagetop