孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
何を勝手に決めつけていたんだろう。
彼は有名な財閥の御曹司。
婚約者のひとりいたって不思議じゃない。
私は今まで、裕福だとか貧乏だとか、有名人とか一般人とか、そういうのに囚われたくなくて、そういう偏見を持ちたくなくて。
有力者に縋り付いたり、そういうものに振り回される人にはなりたくないと思っていた。
でも、世間はそうじゃない。
こういう世界に抗えない部分もあるのだと、初めて思い知った瞬間だった。
そうか。そうだ。
最初から私と、湊を始めとする4人とは住む世界が違いすぎたんだ。
それはわかっている。
だけど今、たった今、このタイミングで、思い出してしまった。
私の中で、ずっとずっと渦巻いていた、忘れていた感情の名前を、思い出してしまった。