孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
XVI.婚約者
一晩寝ると、翌日に物事を別の視点から考える人。
私は、そのひとりである。
私は額に手を当て、重い溜め息を吐いた。
昨日のアレは、完全にやらかした。
感情を出しすぎだ。
周りが見えなくなるって本当に怖い。
もっと冷静にいなくては、と思う。
急に溜まり場を飛び出した私を、4人はどう思ったのだろう。
きっと、不審に思ったはず。
どんなに取り繕ったって、隠しきれないものがあった。
そういう考えを昨日の時点で思い浮かばないあたり、頭が相当いっちゃっていた。
昨日のことは全て、鮮明に覚えてる。
湊の婚約者の笑顔も、甘い匂いも、少しいつもと違う空気感も、婚約者の話をする湊の微笑みも。
全部全部、痛いぐらい覚えている。