孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
お陰で勉強には全く手がつかない状態。
受験生に恋愛は禁物と言われる意味が、今更ながら良くわかる。
夏の間に模試があるけれど、成績をキープできるかも危ないのは理解してる。
しっかりしないと、と焦燥に駆られる日々。
だから私は予定を詰め込んだ。
不安をかき消すように、何も考えないように。
主に塾の予定を敷き詰めて、できる限り4人と会わないようにした。
私にはそれしか無かった。
実波さんとはたまに会うことがあった。
実波さんは湊を待っているから校門で顔を合わせたり、偶然街で会ったりした。
どういう訳か、実波さんは私に会うたび「結愛ちゃん」と笑顔で手を振ってくる。
私はそれを軽く会釈をして交わす。
やめてほしかった。
だって、実波さんの顔を見ると胸が軋むから。
あの笑顔には勝てないから、自分を見失いそうになる。