孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。


少し話すと、全部話してしまいそうで、此処を去るという気持ちが揺らぎそうだから。


「そろそろ帰るね」

「えっ、もう?」

「うん。今日は帰ってやることがあって」

引越しの準備とかね。


「次はいつ来れそう?」

「うーん。まだわからないな」

「結愛ちゃんも忙しいもんね。私、待ってる!」

「ごめんね」

「いいのいいの!けど、なるべく早くね。待ちくたびれちゃうから」

「…うん」

嘘ばっかり。

もう来れないのに。


「ユア、送る」

「いい」

「は?」

「今日は迎えが来るから」

キッパリ断ると、納得がいかないという顔をする湊。

勿論、迎えが来るというのは嘘だ。


湊。湊が優しくするべき相手は違うんだよ。

私じゃないんだよ。


本当にこうやって言えたらどれ程良かっただろう。



< 228 / 250 >

この作品をシェア

pagetop