孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。


───プルルルルル

途中で、スマホが震えた。


画面には"逢坂 湊"の文字。


「…っ、ふっ、…うっ」

その文字を見たら、涙が止まらなくなった。


「…み、なと」

私にどんな用があったのか、そんなのは知らないけど、ひょっとしたら私のことを心配してくれているのかもしれない。

でも私にはその電話に出る気はさらさら無く、道端に出来ていた水溜りにボトンとスマホを落とした。

水の中でピカピカと光りながら鳴り続けるコール音。

もう視界が歪んで、スマホが見えない。


やがてスマホはピタリと音を止め、画面も真っ暗になった。



「…ごめんなさい。ありがとう」


私の独白は雨音に混じって消えていった。



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