孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
Ⅲ.勉強
この状況を一言でいえば最悪、だ。
「高野さん、ここ教えて欲しいんだけど」
「高野さん、ここわかる?」
「高野さん、やっぱりすごい!」
ちょっと黙ってくれ、と思ってしまう。
なんて不運なんだろう。
図書室でひとり、勉強をしようとしていたらクラスメイトに捕まってしまった。
「加藤くんさ、絶対高野さんのこと狙ってるよね~」
「それな!わかる」
一緒に勉強したいっていうから仕方なく許したのに。
真面目に勉強したのは最初だけ。後から始まるのはおしゃべり大会。
ここ、図書室なんだけど?
周りの人がその声に迷惑してるのがわからない?
居心地は最悪だ。
もう帰ろうか。
「ごめん。私もう帰らなきゃ」
「そっか。ごめんね、私たち付いてきちゃって」
そう思うなら来るなよ。
そう思いつつ、笑顔を作った。
「ううん。また明日ね」
明日なんて話すかどうかわからないのに。