孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
「どこがわからないの?」
「数学なんだけど、わからないところがわからないの」
「……、」
うわ。一番面倒臭いやつだ。
当の本人はへらりと笑っているが相当重症だ。
「じゃあ、一学期の内容を全部順番にやろう」
全く、気が遠くなりそうだ。
「結愛ちゃん、ありがとう」
「別にいいけど…」
私は香川 佳穂をじっと見つめた。
彼女は頭の上にハテナを浮かべ口をぽかんと開ける。
パッチリとした目、ぷっくりとした唇。
美少女、とまではいかないけど、可愛らしくて愛嬌のある顔立ち。
ぱあっと花が咲いたような笑顔。
私には真似出来ないような笑顔。
愛されてきたんだということが凄く伝わってくる。