孤独なシンデレラに永遠の愛を捧ぐ。
Ⅳ.母親
すっかり遅くなってしまった。
この時間はちょっと、まずいかもしれない。
香川 佳穂は本当に数学が出来なかった。
別に、高レベルを期待していたわけじゃない。
一度問題を解いてもらって、わかっていないところを教えれば良いのだと考えていた。
だが、香川 佳穂はそんなレベルじゃなかった。
基礎を、一から始めないといけないレベルだったんだ。
彼女は"わからないところがわからない"と言っていたがそれは間違いだ。
いや、あながち間違いではないかもしれない。
彼女は"全く何もわかっていなかった"のだ。
とりあえず重要な公式だけ脳内に叩き込んで、ひたすら問題を解かせて、間違っているところを事細かく解説した。
それで大分向上したが、それでも全部の単元が短時間で終わるはずもなく…。