届かないこの想いを、胸に秘めて。





私の席は一番後ろの廊下側。
だから、余計その声が大きく聞こえる。

声がだんだん近く、ハッキリ聞こえてくるから、もうすぐこの前を通過するんだろう。


そう思ったら、息ができないくらい緊張してきた。




「今日の体育サッカーだって」

「まじか、頑張んないとな」

「って淳介が敵チームだったら適わんわー」


そんなやり取りが近くで聞こえた。



うわ、声がっ、こんなに近くにあるっ。


声だけでこんなにドキドキしちゃってるってどうかしてると思う。

でも、それくらい好きになってしまったんだと思った。


この想いは儚く終わるのに。







< 10 / 306 >

この作品をシェア

pagetop